海外で勤務した経験のある方が公的年金を受け取る場合には、社会保障協定を確認することが大事になります。
社会保障協定とはそもそも何なのか、そして公的年金にどう影響するのかを今日は解説してみたいと思います。
社会保障協定とは?
社会保障協定とは簡単にいいますと、「租税条約の社会保険バージョン」です。
租税条約とは、日本と相手国との間で二重に税金がかかるのを避けるために定められているものです。
社会保険の二重加入を防止する目的で定められるのが社会保障協定です。
では、そもそも社会保障協定が結ばれるでしょうか。
どこの国でも国籍にかかわらず居住者(その国に住所がある人)は年金に強制的に加入をします。
つまり海外で勤務をすることで相手国の年金制度に加入しなければなりません。
しかし、企業側は日本で給与を支払っていないのに加入手続きをして報酬を届けて保険料を相手国に支払うこととなり「保険料を掛け捨てる」という事態が起きてしまいます。
一定期間その国の年金制度に加入したにもかかわらず保険料の掛け捨てになってしまいますとその国の年金を受け取ることができない場合が出てきてしまいます。
そのため、
- 保険料の二重負担を防止するために加入するべき制度を二国間で調整(二重加入の防止)
- 年金を受け取る権利を確保するため両国の年金制度への加入期間を通算することにより必要とされる年金加入期間の要件を満たしやすくする(年金加入期間の通算)
が社会保障協定を結ぶ目的となっています。
【事務所お知らせ】社会保障協定の発効状況・相手国の情報をチェックする方法
社会保障協定はすべての国で締結されているわけではありません。
海外で勤務していた期間の年金を受け取ることができるのかどうかを確認するには、社会保障協定が発効されているかと相手国の情報をチェックすることが大事です。
まず、日本年金機構のホームページのトップページの下部から社会保障協定をクリックします。
すると社会保障協定の内容が表示されます。今回は社会保障協定をクリックします。
そうしますと社会保障協定の内容や協定相手国別の情報を見ることができます。
また、社会保障協定の「協定相手国別諸情報」をクリックしますと、
主要各国の年金制度の概要が表形式でまとまっています。
協定を結んでいる国との間で対象となる社会保障制度(二重加入防止・年金通算制度)の有無も表形式で確認できます。
加入期間が通算される国とそうでない国がある
日本の公的年金(老齢年金)を受け取るには年金加入期間が10年以上なければなりません。
外国でも同じように最低加入期間が定められています。
社会保障協定が締結されている国で加入期間の通算がされる国であれば、日本の加入期間と相手国の加入期間を単純にプラスすることができます。
例えば、日本での加入期間が9年・ドイツでの加入期間が4年だったとします。
社会保障協定がなければ日本の最低加入期間10年に満たしませんので日本の年金をもらうことができません。
また、ドイツの最低加入期間5年も満たしませんので両国の年金を受け取ることができないのが原則でした。
しかし、社会保障協定により日本とドイツ両方の加入期間をプラスことができますので「9年+4年=13年」となります。
日本の最低加入期間10年(13年≧10年)を満たすとともに、ドイツの最低加入期間5年(13年≧5年)も満たします。
したがって、日本の年金に加えてドイツの年金も受け取ることができます。
ただしこの年金加入期間が通算されない国があります。
- 英国(イギリス)
- 韓国
- 中国
- イタリア
こちらの表ですと「通算期間」に〇がついていない国になります。
例えば、イギリスは加入期間の通算は行われませんので、イギリスの加入期間だけで最低加入期間10年を満たさないとイギリスの年金を受け取ることができません。
まとめ
海外勤務経験がある方が年金を受け取る場合には、相手国の年金制度に加入していたかどうかと社会保障協定を理解しておく必要があります。
加入期間の通算ができる国の年金請求は、日本の年金事務所等でできるようになっています。
では。