海外勤務者の確定申告~納税管理人と選任するしないの影響

日本の会社で勤務している人が海外勤務になった場合、日本国内にあるマンションを貸して賃貸収入を得ている場合には、納税管理人を定めて確定申告をします。

では、そもそも納税管理人とは誰なのか、そして選任するしないでどういう影響があるのかについて今日は書いてみたいと思います。

納税管理人とは?

納税管理人とは、日本国内に住所がない人が日本国内で確定申告をする際に、確定申告書の作成や提出・税金の納付や還付金の受取りをお願いする人です。

納税管理人になることができるのは、日本国内に住所がある人であり特別な資格はありません。法人も納税管理人になることができます。

例えば、親族や勤務している日本の法人、顧問税理士や税理士法人です。

納税管理人を定めたときは、その海外勤務者(=非居住者)の納税地を管轄する税務署に「納税管理人の届出書」を提出します。

納税地は原則として住所地となっていますが非居住者は日本国内に住所がありません。

そのため、以下の順番で納税地がどこになるのか判定をしていきます。

  1. 事務所等の所在地(日本国内に事務所がある)
  2. 納税地とされていた住所(納税地とされていた住所にその親族等が引き続きまたは代わって住んでいる)
  3. 貸付の対価にかかる資産の所在地(国内不動産の賃貸収入を得ている場合の不動産の所在地)
  4. 直前の納税地(1~3に該当しない場合は、直前まで納税地だった場所)
  5. 納税者が決めた場所
  6. 麹町税務署(1~5に該当しない場合)
ポイントは、納税管理人の住所地に届出書を提出をするのではないということです。

納税管理人を選任する・しないの影響

例えば、従業員が日本国内にあるマンションを貸して賃貸収入を得ている場合には不動産所得が発生しますので確定申告をしなければなりません。

従業員が海外勤務になり年の途中で出国することになった場合には、その出国時にまで確定申告をする必要があります。これを「準確定申告」といいます。

この「出国」ですが、所得税法によりますと「居住者が納税管理人の届出をしないで日本国内に住所を有しなくなること」とされています。

そのため、納税管理人の届出をしたときは所得税法における出国にあたらず、通常の確定申告期限である翌年3月15日までに確定申告をすればよいことになっています。

また、親族等が控除対象配偶者や扶養親族にあたるかどうかの判定時期についても影響を及ぼします。

年の途中で海外勤務により非居住者になった場合、親族等が控除対象配偶者や扶養親族に該当するかどうかの判定時期は、

  • 納税管理人の届出をしていない:出国時
  • 納税管理人の届出をしている:その年12月31日

となります。

日本に住む居住者の場合、原則としてその年12月31日とされ、年の途中で出国する場合にはその出国時で判定するとされています。

先ほども書きましたが、所得税法の「出国」とは「居住者が納税管理人の届出をしないで日本国内に住所を有しなくなること」でしたね。

納税管理人の届出をすれば出国にあたりませんので居住者と同じその年12月31日で判断することになります。

では、納税管理人を選任するかしないかの違いをまとめてみたいと思います。

納税管理人 選任する 選任しない
税法上の出国 出国にあたらない 出国にあたる
確定申告書の提出期限 翌年3月15日まで 出国時まで
扶養控除等の判定時期 その年12月31日 出国時

まとめ

今回は、海外勤務者の確定申告について書こうと思ったのですがその前段階として納税管理人のお話を書いておこうかなと思って取り上げてみました。

参考になれば幸いです。

では。

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