今回は商業漫画家の経理と確定申告について書いてみたいと思います。
同人漫画家とは違う大きな特徴があるのでその点から解説してみたいと思います。
商業漫画家の特徴
商業漫画家は、漫画を描き出版社からの印税と原稿料から収入を得ています。
具体的には、いくつかの出版社と商業出版の契約をして原稿料収入を得ており、そこから単行本になった場合には印税が入る契約になっています。
ポイントは、出版社から受け取る収入から源泉徴収されていることです。
源泉徴収とは、出版社側で報酬を支払うさいに所得税を事前に差し引くことをいいます。
そのため、漫画家に振り込まれるのは入金額であり源泉徴収された後の金額です。
したがって、確定申告をする際には源泉徴収される前の収入を申告し、源泉徴収された金額は確定申告で計算した所得税から差し引くことになります。
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出版社から送られてくる支払調書
1月から12月の年間の報酬と源泉徴収税額を記載した支払調書が出版社から送られてきます。
支払調書をもとに報酬と源泉徴収税額がわかるからその数字を申告すればいいのかというとそういうわけではありません。
あくまで1月から12月までに受け取った報酬が記載されているので、例えば12月売上分を翌年1月に受け取った場合には、12月売上分はこの支払調書に載ってきません。
なので、出版社から報酬を受け取る場合には、支払明細書という報酬と源泉徴収税額を記載した書類が発行されますのでこれをもとに売上集計をするほうがいいでしょう。
また、支払調書は出版社側が税務署に提出する必要はあるものの必ずしも商業漫画家に交付しなければならないものではありません。
ですので支払調書がないから売上集計しないという考えは間違っています。
先ほども書きましたけど支払調書は入金時のものを集計していますので売上金額とは一致しません。
これらの影響を考えたら、出版社から送られてくる支払明細書から売上集計をしていくのがいいかと思います。
売上の計上時期
結局商業漫画家の確定申告のポイントは売上の集計につきます。
なので改めて書きますけど、
というところが大事なポイントです。
入金額は源泉徴収された後の金額ですので、売上を集計するときには源泉徴収される前の金額を集計するようにしましょう。
給与賃金と外注工賃
商業漫画家の経費については、同人漫画家と同じように自宅分と事務所分両方について支払っている経費があれば按分をする必要があります。
今回は、給与賃金と外注工賃の違いについて書いてみます。
外注工賃とは、外注でアシスタントを頼んだ場合の経費です。
業務委託契約を結んでおり仕事の道具はアシスタント持ちであったり勤務時間に拘束されないなどフリーで活動されているアシスタントに依頼する場合を想定しています。
一方で、給与賃金とは、雇用契約を結んで従業員としてアシスタントを雇った場合の経費です。
この場合は給与を支払うこととなりますので、作家が自らアシスタントの給与を支払うときに源泉徴収をする必要があります。
この給与賃金か外注工賃かの判断が大変難しく税務調査でも論点になりやすいところです。
まずは、アシスタントとどういう契約を結んでいるのかを明確にしておくことです。
雇用契約・業務委託契約という文言だけではなく実態がどうなのかまでチェックされます。
給与となる場合には勤務時間が決まっているとか道具は作家側が用意する・作家の事務所で仕事をするなどの場合には給与の性格が強くなります。
ただし、給与になるかどうかはいろいろな要素を総合的に見て判断することになっていますので判断に迷うことは少なくありません。
まとめ
今回は、商業漫画家の経理と確定申告について売上の源泉徴収についてと給与賃金か外注工賃かの違いをまとめてみました。
参考になれば幸いです。
では。