税務職員のころから心がけているのは、「何か仕事を頼まれたら早く行動してあげる」ということです。
もちろん自分の仕事もしつつですが、もしどうしても困っていて早く仕上げなければならない場合や、全員でやらなくてはいけない大きな仕事の場合は優先していました。
特に調査の仕事では、できるだけ早く行動してあげるほうが安心するのかなと思ったりしています。
調査を早く終了したいから
調査官の時から税務調査が長引くのは嫌でした。
何か誤りや不正があってどうしても修正しなければならないことがある場合、こちらでも情報収集をしてから速やかに判断をして調査を終了させたい気持ちはあります。
しかも税務署内では、誤り金額が多額になったり不正があったりすると、署長など幹部と検討会(重要事項審議会。「重審(ジュウシン)」と呼ばれます。)が行われます。
その判断を待ってから行動する必要があります。
「重審」までには審理担当に事前に資料を作成して中身を審査してもらう必要もありますので、税務署内でも手続きがたくさんあります。
その資料を作成する時間も必要になりますから、できるだけ事業者に早くほしい資料を依頼することが必要です。
その初動が遅れるといつになっても調査が終わらなくなってしまいます。
たまに、不正も誤りもたいしたことがない調査が半年以上続いてしまうことがあります。
それは調査官の初動ミスが原因ということもあります。
事業者に資料の依頼をするのが遅れたのに、「早く出せ!」と何度も連絡をしたため事業者側が怒ってしまい資料が来なかったということもあります。
「依頼が早ければきっとこういうことは起こってなかったのに」、と思わされた出来事です。
では、どうやって早く行動すべきなのか。
調査日以後~調査終了日までのスケジュール管理が重要だと考えています。
連絡は常に取れる状況にしておくー税務署とのやり取りは税理士に依頼
依頼していた資料がなかなか届かない場合には、こちらから何度か進捗状況を確認するようにしていました。
たまに1週間近く放っておく方がいましたが、私はこわくてできませんでした。
3日間連絡がないと状況を確認するようにしていました。
「あまり連絡してくるな!」と怒られることもありますが、たまに本人が忘れてしまっていることもあります。
そして、一番気づいてほしかったのは、依頼していた資料が見つからないと徐々に強硬な態度を取って調査が不利に動く危険性もある、ということ。
まったく無視した結果、不正と認定されて多額の税負担になってしまうということも実際あったりします。
さすがになかなか連絡が取れない事業者だと毎日のように連絡をすることもあります。
しかし、まずそもそもそういうことがないようにするのが基本です。
毎日連絡を取れるような状況を確保することが大切ですが、税務署ですと外部とメールの送受信ができませんのでどうしても電話でのやりとりしか方法がありません。
電話って時間がとられますし、税務署の開いている時間しか連絡が取れませんので夜仕事されている方などは電話に出られないことがほとんどです。
もし日中に電話連絡ができない場合は、放置せずに代理人である税理士に依頼しておくのも手です。
税理士とも電話で連絡を取る必要はなくて、メールやチャットで連絡を取れる状況にしておけばいいと思います。
例えば手の空いた時間に税理士にメールを送っておいて、税務署には税理士から連絡をお願いする方法がいいと思います。
メールなら一日のうち数回は必ず確認しますし、文章として残るので考えやすい・伝えやすいという利点もあります。
毎日電話するのって精神的に疲れませんか?
税務署で源泉所得税の担当をしていたころ、未納督促の電話をしていた経験があるのでわかりますが、電話をかけるこちら側も疲れるのです。
連絡がなかなかいただけないのは正直イライラしますし、印象は相当悪いです。
「いつか調査に行ってやろう」、と思ったりすることもありました。
しかし、電話以外にもしツールがあればこんな心配はしなくていいかなと。
電話だから連絡しづらいってあると思うのです。
ただメールの返信が来ないのも嫌なものです。マナーはある程度必要かなと思ったりします。
特に調査を早く終了させたいのならなおさら連絡を取れる環境にしたいところです。
状況が変わったときは必ず連絡を
事業者が引っ越しをした・長期出張で海外へ行ってしまった、ということを後日知ることがあります。
こういう場合はどうしても調査が終わらなくなってしまいます。
つまり、連絡が取れるようになるまで調査が続くことになります。
事業者本人は仕方ないと思うかもしれませんが、調査官としてどうしようもなくなります。
手元に調査案件は残しておきたくないのです。
引っ越しや長期出張などで事務所にいない状況になるのなら、調査日まで・できれば調査開始前までに税理士や調査官に報告すべきです。
事前にわかっていることであれば調査日自体を変更してもらうことが可能だからです。
たとえ調査が始まってしまったとしても、状況が変化するならその都度きちんと報告しましょう。
報告がないとどんどん話だけが進んでしまって調査官や税理士など多くの人に迷惑をかけることになります。
どこまでが状況の変化なのかという判断はありますけど、できる限り何か起こったらすぐに連絡を取りましょう。
理由によっては調査を中止することもありえます。
心がけていること
私がこころがけていることは、できるだけ事業者の不安と負担を軽くしてあげること。
そのためにはできるだけ早く調査を終了したほうがいいのは確かです。
私自身、何かをずっと考えるよりまず行動したいタイプです。
たとえそれが間違っていたとしてもまずは形として作っておく。
そしてその状況を早く伝えるようにしてきました。
もちろん内容によってすぐにお返事できないこともありますけど、その場合でも連絡は一度入れて状況報告をするようにしています。
また、調査終了後のほうが事業者とのやり取りは増えます。
調査での問題点を整理する・調査官から依頼された資料を用意するなど。
その時にはやはり早く対応したほうが絶対いいわけです。
調査官の印象も変わってきます。
もしここで対応が早ければ早いほど調査に協力的だという印象を持ってもらえます。
私の場合はメールやチャット、あと資料ならDropboxに入れておいていただけるようにしようと思っています。
電話は使わずに文章で確認できるツールを積極的に使っていきたいと思っています。
まとめ
今回は早く行動してあげたい、と思っていることを書きました。
これは調査に限らずです。
何か質問をいただいた場合には、もし回答が遅れそうになったらその時に「もう少し待ってください」と一言お伝えしておいたほうがいいかなと思っています。
数日何も連絡が来ないと不安になったりします。
早めに行動するためには双方の協力が不可欠です。
できるだけ多くのツールを使いながら連絡を取れる状況を作っておくことが大切だと思っています。
では。
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