今後は調査される立場のことも考える

税務調査の事務をしていたときは、以下のことを中心に「調査する立場」のことを考えるだけで十分でした。

●多くの誤り・不正を見つける
●納税者が嘘をついていないかを判断する
●相手方が誤り不正ではないと主張することに反論する
●調査を早く終わらせる
調査の実績がそのまま自分の評価につながっていきますので、どうしても調査する側のことばかり考えてしまいます。
ただ、今後は税理士・社会保険労務士として納税者側、つまり「調査される立場」からも調査の展開を考えていく必要があると思っています。

「調査される立場」として何を考えるか

税務調査では、「納税者 VS 調査官」という構図が成り立ちます。

税理士はあくまで中立の立場ではありますが、実際は納税者から依頼を受けて報酬を得ていることもあって納税者寄りに考えることが通常です。

私が経験してきた税務調査では、税理士の多くは納税者寄りの立場にたって行動していました。

そこで、納税者側である「調査される立場」とは以下のようなものです。

●税金をいかに少なくするか(適正な範囲で)
●調査官からの誤り不正の主張にいかに反論するか
●調査をできるだけ早く終わらせる
●納税者の緊張を解く
●納税者のサポートに徹する
メインはやはり、追加でかかる税金をいかに少なくするか=正しいと税務署に認めさせるか、ということです。
税務調査ですと、調査官から指摘される問題点についてそれは問題ではないんだということを主張することが必要になります。
そのために、調査開始前から指摘されそうな問題点を整理しておく、証拠書類などの資料を確認して不審なところがないかをチェックしておくことも必要です。
結果として、調査を早期で終わらせ納税者の負担をできるだけ軽くしてあげることが大事になってきます。

調査する立場と調査される立場 両方が分かる強み

調査官として調査する立場であった私が、今後税理士として納税者とともに調査される立場に立つことになります。

あくまで税理士は納税者側に立っている、という考えで書いています。
両方の立場を理解していることで、調査での駆け引きに差が出てくると思っています。
ここで「調査での駆け引き」とは、調査官側・納税者側でお互いの主張が対立する場合です。
調査官側で主張していることが実際どうなのかを考えることで、それが正しいのなら納税者に説明することができます。
一方、調査官側の主張が間違っているのなら、反論することも可能です。そのために根拠資料を集めるときに調査官を説得できるような資料を準備することもできます。
調査官は何を求めているのか、何を主張したいのか、が理解しやすいということです。
これは両方の立場にたったことのある「強み」だと思っています。
もちろん強みだというには両方の立場のことを常に勉強しなければならないと思いますし、ずっと訓練していかなければならないなと思っています。
調査官・納税者それぞれの事情がありますから、お互いの主張を理解したうえで判断するというのは責任はあるにせよとても興味があるところです。

年金事務所調査・労働基準監督署調査でも同じ立場

年金事務所調査や労働基準監督署調査でも、「調査官 VS 事業者」という構図は同じです。

ただこれまで年金や労働基準法関係の調査官としての立場の経験がありませんので、実際に経験を積んでみないと理解できないかもしれません。

経験を積んでいくことで事業者の主張も理解できるでしょうし、それをもって調査官に納得してもらえるように主張することもできるのかなと思っています。

まとめ

結局は、常にお互いの立場を考えながら勉強する必要があるなと思っています。

●調査官から指摘されそうなポイントを事前に把握しておく
●調査が来るまでに事前準備を怠らない
●調査当日のことを把握しておく
●お互いの主張をまとめる

調査官として何を主張したいのか把握しやすいのは大きいのかなと。

もちろん今後の経験からさらに磨かれることも多いと思いますし、常に両方の立場で調査のことを考えておくことは大切だと思います。

では。

[事務所お知らせ]

編集後記

昨日は、税務署長へご挨拶を。支部長とともに。

2日間とても疲れました。

まずいったん一区切り。

支部の活動は参加したいものがあればしますけど、それが本当にやりたいことなのか。

無理していないか。嫌じゃないか。

自分のスタンスをしっかりもつことが大事ですね。

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