税務職員として法人税・消費税・源泉所得税の税務調査を担当しましたが、自分があまりに出来が悪かったのでたくさんの失敗をしました。
社長に怒られ、経理担当には馬鹿にされる。
そして、帰ってからは上司に怒られるなど。
本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
ここでは、こんな税務職員がいたんだと思っていただいてもいいので、私の税務調査での失敗談について書きたいと思います。
道に迷って大幅に遅刻
調査に少し慣れたころにした失敗です。
調査が忙しくなると同時並行で何件も担当することになり、頭が混乱してきます。
調査法人が、以前に行った別の調査法人の近所ということも。
その日は比較的大きな調査法人で、法人特官という税務署幹部と一緒に調査に行く日でした。
もちろん、地図は事前に確認しておき特官を案内できるようにしておきました。
そして、調査法人がある近くに着いたと思ったのですが全然見つかりません。
地図を確認して、「あ、やばい。これ前に行った調査法人の地図だ。。」
そうです。前に行った調査法人の地図を持ってきてしまったのです。
結局特官と一緒に探してもらう羽目になり、調査開始を遅らすという失態を犯してしまいました。
もう恥ずかしくて冷や汗ものでした。
普段から書類管理を徹底するように指導されていたのです。
しかし、いくつもの調査事案が重なって慌ててしまい、別の調査法人の地図を今回の調査法人の地図と勘違いしてしまったのでした。
思い込みや慌てるとろくなことがないなと、改めて気づかされました。
日々段取りを考えて、早めからきっちり準備しておく重要性を認識させられる出来事でした。
誤った指導・修正申告書の誤り
これも事前にもっと確認しておけば、というお話です。
調査終了時には、誤りがあった項目に対して修正申告書の提出をお願いしたり、もし軽微な誤りであれば指導という形を取ることがあります。
修正申告書の提出をお願いする際には、税理士が関与していれば税理士と、関与がなければ会社と修正申告書の下書きを作成してチェックします。
税理士の下書きをこちらがチェックすることもありますし、こちらの調査官のほうで下書きを作成して税理士や会社でチェックしてもらうこともあります。
今回は、税理士がいない会社でしたので、修正申告書をこちらで下書きしてチェックしてもらうことにし、了解を頂いたら修正申告書を提出してもらおうと思っていました。
そんなに複雑な別表処理はなく、法人税と消費税の修正申告書の下書きが完成。そして、会社から了解を頂き修正申告書の依頼をしたのです。
しかし、いざ最終処理段階になり、別表の記載もれがあり加算調整がされていないことが分かったのです。
油断してました。別表処理が簡単だからと思い十分な確認をしなかったのです。
結局、再度下書きを作成して会社へ持参する羽目になってしまいました。
会社の方が親切だったのでよかったものの、本当に情けなかったです。
調査では、いつも自分の言ったことに自信が持てませんでした。
勘違いしたまま言っているのではないかと不安だったのです。
こういう単純な誤りや勘違いを防ぐために、じっくりと条文や判例・書籍をしっかり確認した上で、納得したうえで処理を進めるようにしました。
楽なほど落とし穴がある、ことを認識させられました。
余計な行動で社長を怒らせた
これも、特官と一緒に調査に行った会社での話です。
この会社は、同じフロアにもう一つ関連法人(子)がありまして、今回は親法人の調査です。
調査の段階から子法人に対する支払手数料について、その費用が妥当なものなのか問題となっていました。
そこで、その内容がわかる書類として契約書があるとのことでしたが、パソコンの中に保存してあるとのことで、一度そのパソコンを操作していただき確認することにしました。
親法人の担当者に案内されフロアに行ってパソコンを見ようとしたところ、子法人の社員に「これ見ないで!」と大声で叫ばれたのです。
怪しいと思ったので近づこうとしたのですが、特官にこう怒られたのです。
「調査権限ない会社のパソコン見ちゃダメじゃないか」
そうです。親法人の社員のパソコンではなく、子法人の社員のパソコンだったのです。
関連法人である子法人には調査権限はないので、見ちゃいけないのです。
社長にも相当怒られました。
調査内容を全く把握していなかったがためにこんな事件を起こしたのです。
舞い上がってしまったのでしょう。不正かもと。
しかし、周りが一切見えていませんでした。
調査は何とか進められましたが、何度も謝罪しました。
社長からも言い過ぎたと言って許していただきましたが、今でも一番反省していることです。
まとめ
他にも数多くの失敗をしてきました。
どれも、不注意・焦り・誤解から招いたことです。
確認しておけば、ゆっくり準備しておけば、きちんと調べておけば、ということに気づかされました。
今も、この経験は本当に恥ずかしいですけど役に立っていますし、いつも気にするようにしています。
こんなできない調査官いないかも(苦笑)。
では。
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