この事務所ホームページ・ブログのどこにも電話番号は記載していません。
もちろん仕事によっては電話番号をお伝えしなければならないことがありますが、基本的に電話以外の方法(メールなど)でお願いしています。
なぜそう思うようになったのか。
それは過去のトラウマから始まります。
税務署では電話くらいしか連絡手段がなかった
税務署から会社や事業主に連絡を取るときは、以下の方法しかありませんでした。
- 電話をかける
- 事務所に伺う
- 税務署にきてもらう(電話や文書を送付する)
メールは外部には送れませんし、FAXもそうです。
内部担当になると質問電話がひっきりなしにかかってきます。
特に大規模な税務署になると1日中電話が鳴りっぱなし状態。。
高度な質問からクレームまで様々ですが、その都度自分の仕事を止めて対応せざるを得ないのです。
電話が鳴りやまないのが嫌で、何度か受話器を上げたままにしたことがありますし(これは絶対やってはダメです…)あえて出ないようにしたこともあります。
朝やろうと思っていた仕事が電話のせいで夕方になったこともあります。
クレームの電話は本当によくかかってきましたね。
- 源泉所得税を納付したはずだが
- 加算税がかかるのはおかしい
- なんでこんな書類が送られてくるのか
最初からどなり散らされることも多々あります。
基本的にはご自身に落ち度があることがほとんどなのですが、怒鳴られるとこちらのほうも落ち度があったのかと錯覚してしまうくらいです。
ある大会社の経理担当者から加算税が賦課されたことに納得がいかず、午前中ずっと怒鳴られ続けたこともあります。
何度も説明しましたが納得していただけませんでした。
「仕事が忙しかったから納付が遅れただけなのに加算税の対象になるなんて」と。
「そんな理由はダメでしょ。」と心の中で思うんですが、こういう理由が実は大半を占めます。
自分に落ち度があることはわかっているけど納得できない、ということなのでしょうか。
こちらとしては説明していくしかないのですが、たまに暴言を吐かれることも。
- 税務署に乗り込むぞ
- お前の名前を公表するぞ
- 国税庁にクレームを言ってやる
- 死ね
これらは、実際に私が納税者から言われたことです。
「私の何がいけないのだろうか」と人間不信に陥りました。
説明がいけないのか、自分もカッとなるのを抑えていて精神的に参ったこともあります。
うつ病が悪化したのもそうですし、とにかく電話は怖いですね。
電話は便利なものですが、場合によっては人を精神的に追い詰める凶器と化すのです。
意図がはっきり伝わらない
電話が苦手な理由として、相手が意図していることがはっきり分からないということがあります。
何が聞きたいのだろうか、何をお話されているのだろうかというのが読み取れないのです。
電話ですと言った・言わないがクレームの原因になったりしますよね。
特に相談業務をしていますと、自分の都合のいいように解釈をしてしまって間違った方向に行ってしまうということがしばしば起こります。
「話を聞く限りでは…」という条件のもとでお話せざるを得ないです。
本当ならきっと別の話を聞くとまったく違う結論になっているかもしれないのにな、と思うことも多々あります。
しかし、あくまでお話いただいている範囲でしかお答えできないので仕方ないですね。
できれば重要な質問やお問い合わせは、電話ではなく予約を取っていただき来署していただくようにお願いしていました。
仕事が完全にストップしてしまう
電話対応をすると相手も聞いてほしいと思って時間が長くなる傾向にあります。
その間、自分の持っている仕事は完全にストップしてしまいます。
急ぎの仕事があった場合は、それこそ勤務時間中に終えることができずに残業をする羽目になります。
正直電話はかけることは手軽だと思います。思い立ったらすぐできますから。
でもかかってきたほうのことを考えたら嫌じゃないかなと。
私も過去源泉未納者に対して納付督促の電話をかけていましたが、受け手のことを考えたら今はきっとできません。
電話を受けている間にどこまで仕事をやっていたのか分からなくなってしまうのです。
もちろん器用な方ならいいんでしょうけど、私には無理ですね。
あえて電話は受けつけない 別の方法でお願いする
友人にこの事務所ホームページを見てもらったときに、「電話番号は載せないの?」と聞かれたので、載せないと答えたら不思議がられました。
しかも「電話は受け付けておりません」と書かれていることに違和感を持ったようです。
もちろん、多くの事務所では電話番号を掲載していますが、私はひとりで活動していますし仕事量をたくさん増やしたいという思いはありません。
人を雇っていればそういう電話対応もできるでしょうし、fondeskなどの電話代行会社もあるくらいですからそれで対応することもできなくはないです。
それでも私は電話番号は載せるつもりはありません。
自分がされて嫌なことはしたくないんです。その1つがこの電話です。
お客様からしたら手間かもしれませんけど、メールなど文章でやり取りしておくほうがいいと思っています。
- 言った言わないの防止
- 形として残る
- 言いたいことを整理できる
電話だと世間話も中に入ってしまって論点が見えづらくなることがありますから。
あとはできれば対面でお話したいところですね。
今ではZOOMなどオンラインコミュニケーションツールもありますから、対面に近い形で表情を確認しながらお話ができます。
顔が見えないせいでしょうか。
電話だとついついその口調だけで人の印象を決めつけてしまうことがあります。
ちょっと暗そうな人だなとか、怖そうな人だなと。
そう思ってしまうと自分も対応方法も変えてしまったりしがちです。
人それぞれだと思いますけど、私は印象に左右されてしまうほうです。
過去に嫌だなと思ったことはしません。それでお客様が減っても仕方ないです。
まとめ
今日は過去のトラウマから、電話番号を掲載していないことについて書きました。
ある事務所を訪ねた際に、電話がずっと鳴っていました。
こちらからも頻繁に電話をされていたのですが、私にはきっと無理だなと。
あとはどの層をターゲットにしているかにもよるかなと。
高齢の方ですと「メールが苦手で」とおっしゃる方もいらっしゃいますから対応するお客様に合わせて、というのがいいのかもしれません。
私は調査対応をメインにしていますので、特に年齢層は関係ありません。
でも電話をかけてくださる層からは依頼されないだろうなと思っています。
それはそれでいいです。
やっぱりそこは自分の精神的安定のことを考えると電話はできるだけ使用したくないですね。
もちろん緊急時は仕方ないです。それはこちらも理解していますので電話の使用をお断りすることはしません。
普段はメールでお願いするようにお伝えしておこうと思っています。
では。
[事務所お知らせ]
編集後記
HPのメンテナンスをしました。
業務をさらに絞って調査対応をメインにします。
顧問契約は取らずにそのとき限りのものしかありません。
税務調査でも、最近では実際に事務所に訪問するだけの調査ではなく、書面や電話だけで済ます簡易なものも行われています。
簡易なものについては「個別相談」という形で質問をお受けして解決していただけるようにしました。
もちろんいろいろ試行錯誤していますが、ちょっと直したければすぐ直せるのが自分で作ったHPの魅力ですね。