行政調査セミナーを受講した話

開業時から年金事務所や労働基準監督署の調査対応をしたいと考えていました。

ただどうしたら実践を身に着けられるのか。

そこで手当たり次第に情報収集することから始めました。

ネット情報と書籍から「ビジネスガイド4月号」を購入

まずはネット情報と書籍で情報を集めます。

ネット情報には信ぴょう性が怪しいところもありますので、いくつも比較をしてエクセルにまとめていきました。

もちろん厚生労働省や日本年金機構ホームページも参考にして、あとは実践を積んでいこうと思っていました。

しかし、なかなか実践を積む機会もなく「どうしたもんかな」と思っていたところ、ビジネスガイド4月号に「労働行政対応の実務」という特集が組まれていました。

執筆されたのは労働基準監督署で勤務されていた特定社労士の森井博子先生。

お名前はすでに存じていたので遅ればせながらビジネスガイドを購入。

そして、実際にお話を聞いてみたいと思ったのでセミナーを受講してみることにしました。

労働基準監督署以外にある「役所調査」

労働基準監督署調査はよく耳にしますが、ほかにも調査は行われています。

しかも今後は従来のような労基署の動向だけを見ていては不十分だと。

具体的には、

  • 労基署
  • 労働局の雇用環境・均等部
  • ハローワーク

が挙げられます。

ではなぜ労基署以外の部署から調査が来るようになるのかについてです。

「働き方改革」の大きなテーマである「同一労働・同一賃金」が規定されているパート有期法が、令和3年4月から中小法人等にも施行されることとなりました。

すでに大法人には導入されていましたので、これで完全施行という形です。

このパート有期法を所轄する部署が労働局の雇用機会・均等部です。

この「同一労働・同一賃金」が施行されるためにきちんと対応できているのか指導するという必要が出てくるのです。

今後はこの部署からの調査も多くなると予想されています。

次にハローワークです。

ハローワークが調査に来るってあまり聞きなれないかもしれませんが、これもある法律の改正が影響していると考えられています。

それは障害者雇用促進法の「法定雇用率」です。

法定雇用率が令和3年3月1日に引き上げられたことから、これを正しく守っているのかという調査が必要になったのです。

障害者雇用機会均等法はハローワークが所掌する法律です。

法定雇用率を達成するため指導するということで、雇用状況の報告を求めたり、計画書の作成命令・計画実施の状況が悪い企業等には勧告や特別指導が行われます。

そして最悪の場合は企業名が公表されることになっています。

また、これは労働局・ハローワークともに調査重点項目としておいているのが、雇用調整助成金等の不正受給の調査です。

コロナ禍により受給要件を満たした企業に支給されている助成金等ですが、かつてリーマンショックのときもこの問題が数多く発生したようです。

今回も同様に不正受給していないかどうかのチェックがされるのは当然のことと思われます。

必要な報告をしなかったり質問の内容に答えないという場合は罰則まで適用されるとのこと。

なかなか厳しい調査が予想されます。

最後は労基署対応。

令和2年度はコロナの影響により調査件数は大幅に減少しましたので、積み残しの案件も非常に多いようです。

そこで注目されているのが、

  • 長時間労働の是正
  • コロナの影響による解雇等

です。

本来ならば実際に企業に出向いて行う臨検調査が主流なのですが、コロナ禍により従来の手法が取れない可能性があります。

そこで、通信調査で利用されている「自主点検表」をより活用すべきだと考えられています。

この自主点検表を企業等に送付しチェックしていただき返信していただくことで時間をかけず調査を行うことができるようになります。

なるべく対面での調査時間を減らすという意味でも便利であり今後も今まで以上に活用されていくと思われます。

自主点検表のサンプルはこのビジネスガイドにも掲載されていますし、ネットで検索しても同じようなものが出てきます。

セミナー受講後の感想と私見

セミナーを受講してみて、最新情報をつかむ大切さを知りました。

法改正が多い労働法令ですが、やはりその部分できちんと法を順守できているかということが調査されるのだと思います。

これは税務調査と若干異なるところがあるような気がしていて、税務調査は従来どおり誤りが多いところから重点的に確認をしていくように思っています。

どちらかというと税制改正部分は後回しのような感じ。

行政調査の場合、原則事前に調査をするという連絡が来るとともに確認できる時間があるということ。

もしその段階で作成していなくても準備して改善していけば問題ないということ多いです。

税務調査でも書面で来るお尋ね文書で是正しておけば特に加算税などの罰金は発生しません。

まずはお尋ね文書や電話で回答を要求し、それに応じない・悪質だと思われるところは実際に調査へ行く。

最悪の結果、罰金を徴収したり企業名の公表という重い処分に移っていくというのはどちらの調査も同じなのかなと思ったりします。

まとめ

今回は、労働行政対応のセミナーを受講したのでそのまとめと自分の考えを書いてみました。

自主点検表は調査に来る来ないにかかわらず事前にチェックしておかれるといいと思います。

ここで法違反をしていないか確認できますので。

では。

[事務所お知らせ]

編集後記

新型コロナの感染が急拡大しています。

一時期和歌山県も1桁でしたが、昨日は39人の感染。

1年半たっても何も変わらない状況がつらいところです。

東京に住んでいましたので友人が感染しないか心配しています。

タイトルとURLをコピーしました