税理士と社会保険労務士両方の資格を登録していますと、社会保険労務士だから気づく税務の問題があります。
今現在でいうと年末調整や確定申告、助成金に関する税務。
対お客様に対してだけでなく、社会保険労務士にお聞きするとご自身も気にされていることが多いようです。
年金相談にかかわる社会保険労務士から質問される
月に1度、県会の年金相談センターでお手伝いをさせていただいておりますが、先日従事する社会保険労務士から税務のご質問を受けることがありました。
そのときは、過去にさかのぼって支給された年金の受給にかかる税務について。
遺族が受けとった場合は、原則未支給年金として遺族の一時所得として確定申告が必要となります。
それを社会保険労務士としてどこまでご説明するか。
確定申告をしなければならないですよとご説明するくらいであとは税務署へご案内する感じでしょうか。
ただなかなか線引きが難しいところもありますよね。
年末調整について
例えば、年末調整の計算を請け負った場合。
本来は税理士しか所得税の計算はできないはずですが、実際は社会保険労務士が給与計算の一環で年末調整も計算されることが多いのかなと思います。
また、年末調整の質問もお答えされていたりすることもあるかもしれません。
逆に、税理士が給与計算を請け負っていることもあります。
実際は年末調整の仕事は社会保険労務士は受け付けないのが基本なのでしょうがなかなかそうはいきませんよね。
実際、社会保険労務士の方でも年末調整に関心をお持ちの方が多いようです。
私は税務署で源泉所得税担当として年末調整の説明会などを担当していたことがあります。
税理士としても改正事項については研修がありますので、税理士同士で確認し合うとか税務署で問い合わせることもできます。
今日、初めて参加する社労士会支部研修でいきなり講師をさせていただくことになりましたが、そのテーマとして年末調整の注意点もお話させていただく予定です。
どこまで社会保険労務士が関与するのかによるとは思いますけどご参考になればいいかなと思っています。
重要なのは「判断」
社会保険労務士として税務の問題を聞かれる場合があると思います。
その時に下手に答えたり書類作成を代行してしまうと権限外行為になってしまい問題になります。
しかし、実際は対お客様からしたら専門家であることには変わりなく一人に聞けるだけ聞いておきたいと思うのかなと(お金がかかりますしね)。
ただもし権限外の質問されたとしたら概要の説明だけにとどめてあとは税務署や税理士に確認をお願いするのがいいでしょうね。
税務の内容は一切答えないという判断もありかなとは思いますけど、ちょっと失礼かなと思ったり。
例えば、
- 助成金を受け取った場合、確定申告が必要な場合があることを説明する。
- 年金を受け取ったとしても原則として確定申告が必要である(年金収入が少額なら確定申告不要だけど住民税申告が必要など)。
- 年末調整の概要は知っておくこと
など、自分の業務に関連する税務については勉強されておくのもいいのかなと。
つまり、ここまでなら対応するけどここから先は答えられないという「判断」をしっかり持つことです。
その判断を持つために税務も把握することって大事だなと感じます。
税理士も社会保険労務士の業務分野に関心を持つべき
しかし、一方で税理士側を見てみると正直社会保険や年金のことはあまり勉強していない印象です。
相続の問題がクローズアップされているこの世の中、相続税を専門に扱う税理士が多くなりましたが、密接にかかわるはずの社会保険や年金は知らない方も多いです。
社会保険労務士に丸投げしてしまっている税理士も多いのかもしれませんね。
私が両方の資格を取得してよかったと思うのは、業務が密接に絡みあうところかなと思います。
そもそも同じ給与を扱うのに税理士と社会保険労務士で扱えたり扱えなかったりするって面倒じゃないですか。
対お客様からしてもできればすべてを対応していただけたら費用も抑えられると思いますしね。
社会保険労務士試験を受験しないといけないわけではありませんが、税理士業務に関連する分野は勉強をしておいてもいいなと。
行政機関のホームページに掲載されているパンフレットでもいいと思います。
お客様から年金のことを聞かれたときには全く受付ないのではなく、ホームページをご案内して概略だけでもご説明するくらいはしてもいいような気がしています。
まとめ
立場が違えば抱えられている問題は大きく変わるなと感じます。
年金相談をしていると税金の問題はよく発生するようです。
私も税務署で源泉徴収事務をしていたときに年金相談を受けることがありましたから。
もちろん相談をお受けする権限はありませんでしたが、どこに問い合わせたらいいかなどはお答えしていました。
最低限問い合わせ先を紹介できるくらいの知識は持っておいたほうがいいなと感じます。
では。
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