先日から税理士会や納税協会主催の確定申告相談会に従事させていただいて相談をお受けしたり作成された申告書の確認をさせていただく機会があります。
その際に、申告書を見ると所得控除の誤りが多いという印象を持ちました。
そこで、今回は実際相談会で見たり聞いたりした所得控除の間違いについて書いてみたいと思います。
申告書における所得控除の場所
今回取り上げる所得控除の場所は、確定申告書でいう「所得から差し引かれる金額」に記入されるものです。
【事務所お知らせ】所得控除の間違い
社会保険料控除・生命保険料控除など 第二表の記入
生命保険料控除の計算が難しく感じるようです。
控除証明書はお持ちなのですが計算方法が分からずご相談される方が多かったです。
一律○万円と決められているものではありませんからね。
また、確定申告書第二表にある「社会保険料等に関する事項」にどう書いていいのか分からないというご相談もありました。
「支払保険料等の計」には金額が入っていても、「うち年末調整等以外」(確定申告で控除する分)に金額が入っていないケースが多かったです。
あと、生命保険料控除で妻が契約者であり夫である本人が支払っている場合、別の日に来た税理士に控除できないと言われたそうです。
本人も控除ができると思っていたのにできないと言われて、とお困りのようでした。
契約者が違うからダメだと判断されたのかもしれませんが、あくまで本人が支払っているかどうかだと思っていましたのでその場で調べました。
以下調べたときのタックスアンサーを掲載しておきます。
契約者は妻ですが本人が支払っていれば生命保険料控除は受けられると思っていましたので、ご本人が支払っていることを確認したうえで控除できると回答しました。
障害者控除
息子が書いた確定申告書をお母さまが検算してほしいとご持参されました。
検算はあっていたのですが、最後に「私、障害者手帳を持ってるんですけど…」と。
中身を確認すると身体障害者手帳3級をお持ちでした。
扶養控除には金額が入っていたものの、障害者控除には金額が入っていませんでした。
去年はどうされていたかをお聞きしたら去年は入れてくれていたと思うとのこと。
障害者控除が受けられると思う旨お伝えして、念のため障害者手帳の写しを添付していただくことをお伝えすると、息子に確認してみると言って帰って行かれました。
配偶者控除
配偶者控除の金額は38万円だと勘違いされている方がいらっしゃいました。
(本人の合計所得金額が900万円を超える方ではない前提です)
その時は本人ではなく奥様が来られていました。
奥様の生年月日が昭和25年となっており、70歳を超えていらっしゃいました。
なのに配偶者控除は38万円と記入されていたのです。
奥様に生年月日を確認させていただき、奥様の所得も確認させていただきました。
70歳以上(昭和27年1月1日以前生まれ)だと配偶者控除48万円受けられますとお伝えするとびっくりされておりました。
扶養控除
第二表に親族の記載があるにもかかわらず扶養控除の金額が違う場合がありました。
扶養控除の対象にならない人まで記入されていたり、事業専従者を扶養控除に入れていたり。
ただこの場では扶養控除の対象となる方の所得確認までできない場合があるので、ひょっとしたら所得が超えているのにもかかわらず扶養控除に入れているかもしれません。
医療費控除
確定申告書に医療費控除10万円との記入がありましたので、医療費控除の明細書を確認させていただきました。
すると、医療費控除額はまったく違う金額でした。
この10万円はいわゆる「足切り限度額」と呼ばれ医療費控除額は以下のように、
と計算されるのですが、この10万円を医療費控除として記入されていました。
よくある間違いです。
寄付金控除
寄付金額をそのまま寄付金控除額にされていました。
寄付金額が10万円なら寄付金控除額は10万円でありません。
寄付金額から2,000円を差し引くのを忘れているケースです。
正しくは、
100,000円ー2,000円=98,000円となります。
(総所得金額の合計額×40%と寄付金額を比較して低い金額ですが明らかに寄付金額が少ないです)
共通点 「手書きしていること」
すべてにおいて共通しているのは手書きで集計したり記入されていることです。
もちろん自分でされる分にはかまいませんし、むしろそれだけ熱心に取り組んでいただいているのですごいなと思います。
しかし、手書きだとどうしても記入漏れや計算誤りが出てきます。
私は相談会場でも実際に国税庁ホームページにある確定申告書等作成コーナーに金額を入力したりしながら検算をしていました。
時間はかかってしまうかもしれませんので事前にお断りをしたうえで進めさせていただきました。
仮に私が手書きしたらきっとミスは起こると思います(あってはならないですけど)。
それくらい手書きで間違いなしの申告書を作るのは至難の業な気がします。
まとめ
今回従事させていただいた相談会では、所得控除の誤りが多い印象でしたので記事にしてみました。
所得控除のチェックリストとしてご活用いただけたらと思います。
では。