令和4年度の年金事務所調査はどうなるか?

令和4年3月末に、令和4年度日本年金機構年度計画が発表されました。

https://www.nenkin.go.jp/info/johokokai/disclosure/nendokeikaku/index.html

この中では、厚生年金・健康保険等の適用を促進するための対策や、事業所調査による適用の適正化に向けた取り組みについて書かれてあります。

今回は、この資料と先日行われた和歌山県会研修で年金事務所から説明があった事業所調査についての内容を整理してみようと思います。

厚生年金・健康保険の適用促進対策

厚生年金や健康保険に加入していない事業所(未適用事業所)をさらに解消させるために新型コロナウイルス感染症の影響をふまえつつ継続的に取り組むとされています。

令和4年度においては、国税源泉徴収義務者情報により把握した適用調査対象事業所(調査予定の事業所)について、雇用保険被保険者情報等を活用するとあります。

ここで、

国税源泉徴収義務者情報とは、税務署に納付された源泉所得税の納付状況が分かるデータのことで、事業所の毎月の支給人数・支給額・税額・納付年月日などがわかります。

簡単に言いますと、事業所から納付された納付書のデータが管理されているんですね。

それを年金事務所に情報提供しているわけです。

支給人数が分かれば常時雇用している従業員の人数も予測をつけることができますので、未適用事業所のあぶり出しはしやすくなります。

雇用保険被保険者情報と照らし合わせてさらにそのあぶり出しを正確にできるというわけです。

特に、5人以上の従業員を雇用している可能性が高い適用調査対象事業所については優先的に取り組むとしています。

また、家族以外の従業員がいることを把握した事業所についても優先的に取り組むとしています。

なお、これらの事業所への対応について、加入指導をしても適用に応じない事業所については立入検査を効果的に活用するとのことです。

加入指導をしたうえで立入検査によっても適用に至らない悪質な事業所については告発も視野に入れた対応を検討するとあります。

さらに、年金改正により令和4年10月から適用事業所となる士業を営む個人事業主で従業員5人以上の事業所には、各団体連携により制度周知を行い適用を進めるとしています。

まとめると、

●国税源泉徴収義務者情報を活用する
●加入指導に応じない場合は立入検査を行い、悪質な場合は告発も
●従業員5人以上の士業を位となる個人事業主への制度周知と適用

になるかなと思います。

事業所調査による適用の適正化

適用事業所の従業員への適用漏れの防止や届出の適正化を推進するため、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえつつ事業所調査を実施するとあります。

調査対象の選定として、

令和4年度において、10月からの短時間労働者の適用拡大に対応するため、短時間労働者の資格取得届が適正に提出されるようにする。

そのためには、

社会保険労務士等と連携して事業所訪問等による制度説明を行い、

届け出が行われていないと思われる事業所に対して適正な届け出の勧奨や事業所調査を実施する、とあります。

また、あわせて小規模事業所に対する簡易的な手法による調査を含め、さらなる効果的・効率的な事務所調査の在り方にについて検討するとしています。

具体的に、

次の事業所は、最優先の対象として必ず実施するとしています。

●令和4年10月の短時間労働者適用拡大の対象となる事業所
●一定期間以上の遡及または大幅な報酬変更等の届出があり特に確認が必要となる事業所
●被保険者からの通報が行われた事業所
●一定以上の所得があり未納が継続している国民年金被保険者への就労状況調査により適用の可能性がある従業員がいると考えられる事業所
●法務省出入国在留管理庁から提供される特定技能外国人情報により判明した未適用の外国人就労者を使用する事業所

また、

調査対象を次の対象事業所から優先して選定するとしています。

●雇用保険被保険者情報により未加入者がいると見込まれる事業所
●算定基礎届・賞与支払届が未提出であって、文書や電話による届出勧奨を行うも提出のない事業所
●短時間労働者を多く使用している事業所
●一定期間以上の遡及または大幅な報酬変更等の届出があった事業所
●これまでの事業所調査において多数の指摘があり事後フォローが必要な事業所

このほか、新規適用事業所については、制度周知を兼ねた呼び出し調査を実施すること。

また、利便性向上と調査業務効率化のため、調査資料のオンライン提出の活用について積極的に案内するとあります。

まとめると、

●事業所調査は必ず行うものと優先的に行われるものがある
●小規模事業所に対しては簡易調査
●新規適用事業所は呼出調査

になるかなと思います。

和歌山県会で行われた研修

和歌山県会で行われた研修にて、年金事務所の担当者の説明によりますと、令和4年度において小規模事業所については簡易調査を実施する、とありました。

また、誤りの多い事例として、

  • 賞与支払届の提出もれ
  • 届出の遅延

があるというお話をされていました。

年度計画と同じような方針で進めていくものと思われます。

まとめ

つらつらと書いてきましたが、ポイントを整理して調査に臨むのがいいと私は考えています。

行政が公表されている文書はやっぱり堅苦しいです。

少しは分かりやすい表現に変えてみようと試みようと思いましたが難しい。

なので、ポイントだけでも拾ってもらえたらと思ってまとめてみた次第です。

参考になればいいなと思います。

では。

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