国際源泉は国際源泉所得税のことで、非居住者と呼ばれる方に支払った時に発生するものです。
しかし、外国の税制は日本とは異なります。
日本の税制だけで判断することができず相手国の税制の影響を受けることになります。
そのため、取り扱いが複雑になるうえ、取引内容を確認するときにその国の言葉で書かれた書類(英語やスペイン語など)を見るとアレルギー反応が出がちです。
私も初めて担当した時は避けてきましたけどそんなことも言ってられず…。
まず基本的な流れ(大枠)を理解していると判断がしやすくなるのかなと。
国際源泉の経験が少ない方・国際源泉が苦手な税理士や会社の担当者の方に読んでいただけたらなと思います。
国際源泉の大きな流れ 順番は大切に
源泉所得税は、相手と取引をして支払ったときにその支払者が源泉徴収をして国に納付します。
これが国際源泉の世界になったとしても支払ったら源泉徴収をするというのは基本の流れです。
しかし、日本の所得税では日本に住んでいる人かそうでないのかによって課税される範囲が異なっています。
まず判断すべきなのは、居住者か非居住者かです。
条文上はなかなか難しいことが書かれてありますが、
居住者とは簡単にいうと、日本に住所がある人や1年以上日本に住んでいる人を言います。(日本人や日本在住の外国人)
非居住者は居住者以外、簡単にいうと、外国に住所がある人や1年以上外国に住んでいる人を言います。(外国人や海外在住の日本人)
居住者は、日本で得た所得だけでなく外国で得た所得にも課税されます。
一方で、非居住者は日本で得た所得にだけ課税されます。
この日本で得た所得のことを国内源泉所得といいます。
すべての国内源泉所得が源泉徴収される(課税される)わけではなく、日本の所得税では13種類に限定されています。
次に判断するのは、行った取引が国内源泉所得に当たるかどうかです。
13種類に当たらなければ源泉徴収しなくてもいいわけです。
で、国内源泉所得に当たった場合源泉徴収をする必要がありますが、日本と相手国と両方の国で税金をかけないようにするという条約が結ばれていることがあります。
それを租税条約といい、国内源泉所得に当たる取引でも租税条約を適用することにより源泉徴収の税率を軽減したり免除(ゼロパーセント)になったりします。
租税条約は、日本の所得税法より優先して取り扱われることになっています。
ですので、最後に行うのは、相手国との間で租税条約が結ばれているかどうかを確認します。
大枠を流れをまとめると以下のようになります。
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居住者か非居住者か
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国内源泉所得にあたるか
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租税条約の適用があるか
国税庁ホームページから情報収集
ここまで書いてみてもちょっと難しいですよね。
特に租税条約は、相手国によって規定が様々ですので、取引によってはこの国は免税だけどこの国は軽減、いや、日本の所得税法と同じなど税率が異なります。
さらに、支払った側で源泉徴収せずに使った国で源泉徴収してね、という国もあったりします。
では、租税条約の情報はどこから仕入れるのかということですが、条文は財務省のホームページから入手できます。
また、租税条約は頻繁に改正が行われますので、国税庁ホームページには改正情報も掲載されています。
個人的には国税庁ホームページの「租税条約に関する情報」から入ると財務省ホームページへのリンクもあるのでおススメです。
「源泉徴収のあらまし」+α
では具体的に、もし国際源泉取引に当たった場合に参考にしていることをお伝えしますね。
先ほどご紹介した国税庁ホームページ「租税条約等に関する情報」は必ずチェックします。
また、国税庁ホームページに「源泉徴収のあらまし」という冊子がアップされています。この冊子は税務署の窓口でも配布しておりタダでもらえます。
源泉所得税について網羅的に書かれていまして、担当者にとってはバイブルのような冊子です。
この中に、非居住者に関する章があります。
国内源泉所得における日本の所得税法と租税条約の取扱いについて対比的に書かれていますので分かりやすくなっています。
しかし、条文ベースなのでたまに読んでいてどの立場にいるのか分からない(支払い側か受取側かなど)ことがありますが…。
まあタダでもらえるものはもらっておきましょう(笑)。
「源泉徴収のあらまし」だけですと租税条約の詳細は分かりにくいので、財務省のホームページを見るとか国際源泉の本を1冊買っておくといいかなと思います。
まとめ
今回は、国際源泉の基本的な流れと、調べるときのおススメ方法を書いてみました。
突っ込みすぎると分からなくなりますが、基本的な流れが分かってくると後は肉付けしていく感覚なのかなと。
私もこの流れを意識して実務に取り組んでいます。
参考にしてみてください。
では。