先日国税庁ホームページに「申告書等情報取得サービス」が始まったという情報がありました。
これまで提出した申告書・届出書を税務署で確認したい場合は、閲覧申請をする必要がありました。
しかし、今回のサービスを利用することで少しは改善された格好です。
ただ「少しは」と書いたのは、個人的にまだまだハードルがあるなと感じているからです。
実際利用する方はそれほど多くなさそうな気がしています。
申告書を確認するには
確定申告書の内容を確認するには、まず1つとしてe-Taxメッセージボックスからダウンロードする方法があります。
e-Taxにより確定申告書等を提出している場合には、PCからe-Taxソフト(WEB版)にログインすることで、メッセージボックスの確定申告書等を提出した際の受信通知から、申告書等のPDFファイルをダウンロードすることができます(手数料はかかりません。)。なお、メッセージボックスの受信通知を確認するためには、マイナンバーカード等の電子証明書による認証が必要になります。
引用:国税庁ホームページ 申告書等の情報の取得について
つまり、書面で提出された申告書についてはこの方法では取得できないことになります。
そこで、今回導入された申告書等情報取得サービスを利用します。
所得税の確定申告書等については、書面により提出している場合でも、e-Taxソフト(WEB版・SP版)にログインすることで、PDFファイルを取得できる「申告書等情報取得サービス」を提供しています(手数料はかかりません。)。
なお、申告書等情報取得サービスの利用に当たっては、マイナンバーカードが必要となります。書面又はe-Taxにより提出した次の申告書等のうち、直近3年分(令和2年分以降)が対象となります。
① 所得税及び復興特別所得税確定(修正)申告書
② 青色申告決算書
③ 収支内訳書~代理人や相続人の方はご利用いただけません。
引用:国税庁ホームページ 申告書等の情報の取得について
利用にあたっての注意点
申告書が手元になくてもマイナンバーカードがあれば書面で提出した分でも無料で確認したりPDFファイルを取得することができます。
ただいくつか注意点があるので挙げてみたいと思います。
所得税申告書だけ
申告書等情報取得サービスでは、以下の所得税申告書のみ取得が可能となっています。
① 所得税及び復興特別所得税確定(修正)申告書
② 青色申告決算書
③ 収支内訳書
したがって、法人税・消費税・相続税・贈与税の申告書は対象ではないということです。
なので仮に書面で提出した消費税申告書を確認したいと思ってもこの方法では取得できません。
直近3年分(令和2年分以降)に限定
期間が直近3年分に限定されています。
現在は令和4年3月15日期限の令和3年分所得税確定申告書まで情報を取得できますので、実質今は令和2年分と令和3年分の2年分しか確認できないことになります。
申請書や届出書は確認できない
実は申告書よりも確認したいのが申請書や届出書だと思います。
- 消費税において簡易課税制度を選択しているのかどうか。
- 源泉所得税は納期の特例を適用しているのかどうか。
- 青色申告承認申請書を提出しているか。
これらの情報も確認することができません。
代理人や相続人は利用できない
ここも非常に残念なところで、代理人や相続人は利用することができません。
代理人として関与されている税理士があげられるかと思いますが、税理士がいくら代理していたとしても利用ができません。
マイナンバーカードがないとダメ
そもそもマイナンバーカードを作っていないと利用できません。
マイナンバーカードを持っていない人もまだまだたくさんいらっしゃいます。
特に書面で提出した方などは、e-Taxを使っていない方も多いかと思いますので、カードを持っていないことが多いです。
今現在マイナンバーカードがなくてもID・パスワード方式で申告書が作れますしね。
【事務所お知らせ】本当に知りたい情報が取得できない
私が思う最大の問題点として、本当に知りたい情報が取得できないということです。
それは、書類を保存しておく年数も関係してきます。
通常、確定申告書や決算書などは最低7年間保存してねと言われているかと思います。
しかし、実務においては、
- 税務関係の申請書や届出書は永久に保管
- 確定申告書や決算書などその他のものは7年間
と分けていることが多いです。
確定申告書や決算書は保管されていると思うんですよね。
ましてや今回の情報提供サービスで利用できるのは直近3年間までですから。
一方で注意したいのは、税務関係の申請書や届出書がずっと保存されているのかどうか。
なかなか手元に保管されておらずなくされている方も多いんじゃないかなと。
個人的には、この申請書・届出書の保管のほうが重要だと思っているので、それが情報として得られないのはなぜなんだろうなと疑問です。
永久保管だからこそ確認をしたいわけですけど。
税理士が関与を変更されたら税務署に電話がかかってきます。
そのほとんどが申請書や届出書が税務署に届け出ているかの確認です。
おそらくお客様の手元に残っていないんでしょう。
そういう事情を踏まえると、なぜ確定申告書だけに情報提供をしぼったのかわかりません。
まとめ
今回は国税庁ホームページにある申告書等情報提供サービスについて、私なりの考えを書いてみました。
正直あまり利用しないでもいいのかなと思ったりしています。
もともとe-Taxで申告していたら情報は見れますし。
3年分と限定されていることもありますから。
またいろいろと改良されることを願っています。
では。