65歳未満の方で会社などでお勤めをさせていて給与をもらっている場合、給与と年金を一定金額以上受け取っていると、年金の支給が一部または全額停止されます。
令和4年4月からその一定金額以上というラインが変更になっていて、これまで支給が停止されていた方も年金が支給されるケースが多くなっています。
つまり、年金と給与両方がもらえる状況になった方が一気に増えている状況です。
それに伴ってこれまで年末調整だけで完了していた給与のほか、年金ももらえるようになると所得税の確定申告が必要になります。
65歳未満で在職中の方も支給停止額28万円⇒47万円に
以前このブログで、令和4年4月からの年金改正で書かせていただきましたとおり、年金の支給停止となるラインが、28万円が47万円と引きあがりました。
年金と給与の合計が月47万円を超えないかぎり、年金は全額支給されることになりました。
もし超えたとしても、超えた分の1/2が支給停止になります。
したがって、令和4年4月以降、給与がある程度高くても年金が全額または一部支給される方が増えるという状況になってきています。
実際、年金相談でお越しになる方で、6/15の年金支給日に急に年金額が増えたけどというお問い合わせが来ています。
6/15の年金支給日は4月分と5月分の年金が対象となっていますので、ちょうど改正があった時期。
これまで支給が停止されていた年金が支給されるようになるということも珍しくありません。
年金と給与を両方もらうと確定申告が必要に
全額支給停止になっていた65歳未満の方ですと、給与のみ受け取られていたのでお勤め先での年末調整で完了し確定申告しなくてもいいという場合も多かったかと思います。
しかし、支給停止額が47万円に引きあがったことで、給与と年金両方がもらえることになるケースが多くなります。
この場合、給与はお勤め先で年末調整をしたあとの源泉徴収票が発行されるかと思います。
年金も翌年には公的年金等の源泉徴収票が日本年金機構から発行され郵送されてきます。
給与と年金では所得の区分が異なっていますので、これらを合算して確定申告書を作成し提出なければなりません。
ちなみに、
- 給与は給与所得
- 年金は雑所得(公的年金等)
になります。
年金収入から公的年金等控除額を差し引き年金にかかる雑所得が計算されますが、この公的年金等控除は、基本的に、
65歳以上:年金収入330万円未満で控除額は110万円
と範囲が異なります。
65歳未満のほうが年収・控除額とも小さいですので雑所得がプラスになることが多くなります。
これをもとに税金が計算されますので結果的に源泉徴収(年金からの天引き)が発生します。
【事務所お知らせ】申告不要に当たる人は少ない
実は、確定申告を提出しなくてもいい方がいます。
の場合は、確定申告書の提出は不要です。
しかし、住民税の申告は必要になっています。
この年金収入が400万円以下というのは多くの方が該当するのかなと思います。
しかし、年金にかかる雑所得以外の所得(例えば、給与所得)が20万円以下という要件はすでに給与をもらっている時点で満たさない方が多いのかなと。
なので確定申告の提出が不要ということは考えなくてよく、確定申告書は提出するんだと思っておいたほうがいいと思います。
ちなみに、確定申告書を提出すると、その情報が住民税にも回りますので改めて住民税の申告をする必要はありません。
確定申告するのに必要な情報
ここで、確定申告書を作成するにあたって必要な情報について整理してみたいと思います。
給与の源泉徴収票
源泉徴収票については、勤務先から発行されます。
この源泉徴収票に書かれている内容をそのまま確定申告書に記入・入力していくことになります。
国税庁HPにある「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、源泉徴収票のどの数字をどこに入力すればいいのかなど手順に沿っていくだけで情報をもらさず入力できます。
また、2か所以上で勤務されていて給与をもらっている場合ですと、年末調整は1か所でしかできていませんので、合計して確定申告をします。
年金の源泉徴収票
日本年金機構から年明けになるとお手元に送付されてきます。
先ほども書きましたけど、収入金額のほか事前に年金から天引き(源泉徴収)された所得税があればその金額もすでに印字されているかと思います。
この源泉徴収票の内容をそのまま記入・入力していきます。
こちらについても、国税庁HPにある「確定申告書等作成コーナー」で入力いただくほうが分かりやすいです。
2以上の源泉徴収票がある場合はすべて合計します。
年末調整で反映していない控除を入れる
給与の年末調整の時に反映していない控除があれば確定申告書に記入します。
例えば、医療費控除は、年末調整で控除することができませんので確定申告書に記入をします。
計算した結果を見ないと分からない
正直ぱっと見で確定申告をするかどうか判断できない部分は正直あります。
確定申告書を作った結果をみないことには税金が発生するかどうかは分かりません。
もちろん計算した結果、税金を納める場合もあれば還付される場合もあります。
結果的に納付0円という場合もありえます。
しかし、給与と年金両方を受け取っているからには、合算して確定申告しておかないと税金を正しく計算していないことになります。
極論をいいますと、後日税務署から連絡がきて追徴課税され、罰金が科される可能性もなくはありません。
まとめ
65歳未満で在職中の方は年金の支給停止額の変更により、年金の支給が始まった方もいらっしゃいます。
年金収入のほか、年金から天引き(源泉徴収)された所得税がある場合も年金の源泉徴収票が発行されます。
給与・年金両方の源泉徴収票の金額をもとに確定申告書を作成し提出する必要があります。
納付があれば納付書で納付をする必要も出てきます。
4月から年金と給与両方をもらえる方が増え、結果として確定申告をしなければならない方が増えると思ったので記事にしてみました。
では。