現在、記帳指導をさせていただいている方で鍼灸師さんもいらっしゃいます。
鍼灸師の確定申告はいわゆる個人事業主ですので、確定申告が必要になります。
一般的な事業所得者の申告だけでなく、鍼灸師特有の経理処理もあります。
そこで、今日は鍼灸院の経理ポイントについて書いてみたいと思います。
売上計上時期が重要ポイントー保険適用分と自費分
鍼灸師に限らず、マッサージ・柔道整復師など施術をされる方がいらっしゃいますよね。
お客様が診療所に来院され施術を行います。
その際、施術内容によって大きく2つに区分されると思います。
基本的に、本人負担は3割ですから残り7割は保険者(国の機関)に請求します。
自費診療分:全額本人負担
売上は、施術日に計上するのが原則です。
例えば、施術後窓口で支払を受けるときに現金で受け取ると、社会保険適用分のうち本人負担と自費診療分は入金時に売上を計上することになります。
つまり、施術日と入金日が一致することになります。
ただし、クレジットカード払いの場合だと、施術日と入金日がずれてきますがこの場合にはあくまで施術日に売上を計上します。
施術日は未収金として処理しておき、カード決済日が来たら未収金から普通預金などへ振替える処理を行います。
一方、社会保険適用分のうち保険者請求分については、請求が確定した時に売上を計上するのが基本的です。
請求後約2か月で支払通知書の送付があり決定額が振込まれます。
それに基づいて売上を計上することになります。
その際に、手元にあるレセプトと保険者からの支払通知を照合しておくようにします。
例えば、患者が40才の一般的なサラリーマンだった場合、医療費の3割は直接患者に対し、窓口で請求します。残りの7割は保険者に請求する必要がありますが、患者への診察をおこなう度に請求をするのでは作業が煩雑になり手間もかかります。そのため保険者に診療報酬を請求する際には1か月分をまとめて請求作業をおこないます。直接、医療機関から保険者に請求するわけではなく、国民健康保険団体連合会などの審査支払機関を介して請求する仕組みです。審査支払機関に診療報酬を請求する際には、「診療報酬請求書」と「診療報酬明細書」を提出しなければいけません。この診療報酬明細書をレセプトといい、患者の氏名や診療報酬点数などが記載されています。審査支払機関は提出された内容を審査し、請求内容に不備がなければ、審査支払機関を通して保険者から医療機関に診療報酬が支払われます。
引用:生涯学習のユーキャン 診療報酬請求の流れ
しかし、支払機関側の査定を受け給付額が減額されることがあるため、その場合には売上を減額することになりますので注意が必要です。
また、その年の年末に施術したけど未入金になっているものも売上に計上する必要がありますので、決算では注意が必要です。
鍼灸院での経費
鍼灸院の経費として特徴的なのは以下のようなものが考えられます。
- 施術用品(はり、テープや湿布など):これは年末に在庫管理をする必要があることも考えられます。その場合は棚卸表を作成しておきます。
- スタッフへの給与:もしスタッフがいて給与を支払っている場合は源泉徴収の問題が生じます。
- 鍼灸院の内装代や治療用器具:金額いかんによっては減価償却を計算する必要があります。固定資産台帳の作成も必要です。
現金の管理
残高管理としては、やはり現金の管理がポイントとなります。
施術後窓口でお支払いされる分を現金で受け取られることが多いかなと思います。
そのため、現金の残高は毎日確認して経理しておく必要があると感じます。
現金の管理をするうえではやはり予約表を残しておくことも大切です。
どの患者さんがどういう形で来たのかを管理しておくことで、現金管理もしやすくなります。
またこまめに現金を合わせておかないと、経費処理さらには売上処理などすべてに悪影響を及ぼしかねません。
現金を扱うことが多いと思いますので、特に慎重に管理していただけたらということをお伝えするようにしています。
インボイス登録
インボイス登録については、基本的にお客様は個人の方(一般消費者)だと思いますので、インボイス登録をしなくても影響はないかなと考えています。
まとめ
今回は、鍼灸師の経理ポイントについて書いてみました。
今回の例は、おそらく柔道整復師がいる整骨院・接骨院などでも役に立つ経理ポイントかなと思います。
参考にしていただければ幸いです。
では。