税務調査の際、調査官はできるだけ短時間で調査を終わらせたいので、時間を割きたいところとそうでないところのメリハリをつけて調査をしています。
事前に調査をするうえで準備をしている調査官からしたら効率よく調査をしたいものです。
問題が多いと思われるところには時間をかける。
そうでない部分はできるだけ省略する。
今回は、調査全体で時間が割かれる項目について書いてみたいと思います。
「事業内容」を半日聞くのが理想
税務調査の基本的な流れは以下のとおりで、個人事業主やフリーランスの方の事務所や自宅へお伺いするのが一般的です。
- 事業内容
- 帳簿調査(売上や経費)
この中で、1.事業内容を午前中(半日)聞くことが理想です。
事業内容というのは、以下のようなものを指します。
取引先の情報
仕事の受注から請求・入金までの流れ
現在までの経緯
家族状況
申告書の作成方法 など
なぜこの部分を重点的に質問してくるかというと、不審な取引がないかどうかを確認したいためです。
調査官は事前に提出された申告書の内容は事前に確認してきているはずですので、それよりも申告書に出てきていない内容を聞き出そうとしています。
調査官が事業主にヒアリングをして、想定外のことであれば突っ込んで質問をしてきます。
売上
このあとの帳簿調査では、請求書や領収書と、売上や経費を集計した総勘定元帳などとを突き合わせて調査をしていきます。
この帳簿調査は多くの場合、売上から確認をしていきます。
特に、売上の計上時期や計上金額については必ずチェックされる項目です。
売上を確認したときに、もし誤りが見つかればほかも怪しいと調査官は思いますし、もし正しいのなら調査官は焦ります。
売上がまずきっちりと正しいものであるかどうかは、その後の調査展開に大きな影響を及ぼしますので、調査官も時間を割いて調査してきます。
【事務所お知らせ】逃げないものは後回し
実は、調査は1日だけで終わることはありません。
お伺いするのは1日かもしれませんが、その後も調査は続きます。
帳簿調査で行われる請求書や領収書・元帳は、調査官が預かって税務署へ持ち帰ることもあります。
当然預かる形になりますので後で返却されます。
つまり、手元にあるものは預かって税務署内でじっくり検討すればいいわけです。
書類は逃げませんから。
ですので、売上だけ検討して経費は税務署で確認するとか、帳簿調査自体お伺い時にはやらないこともあります。
脱税をしている・不正があると思われるところを重点的に調査したいというのが調査官の本心です。
そのためには、帳簿そのものよりも帳簿を作成するまでの過程が重要で、その中で食い違ったことを話してもらおうと時間を割くのです。
もちろんウソはついてはいけません。
ただ、怪しく思われる回答はできるだけしないように心がける必要はあります。
まとめ
私が法人税調査をしているときは、2日間あったうち最初の1日目はほとんど事業内容を確認することにあてていました。
これがさらに大きな会社になると5日間の調査のうち2日間は事業内容の確認をしていました。
そのくらい事業内容の確認は重要なのです。
上司からは「ここがすべての調査の分かれ目だ」というのを散々聞かされてきました。
正直、帳簿調査はその場でしなくてもいいんですよね。
税務署へ持ち帰れますから。
何に時間を割かれるのかを知っておくと、事前の対応の仕方も変わってくるかなと思います。
では。