税務調査で指摘されることで多いのは、根拠となる資料がなくあいまいな主張をしてしまうことです。
特に計算のもととなった資料がないと、なぜこのような金額が計算できたのかが分かりません。
曖昧な答えに終始してしまうことで、結局調査で誤りがあると指摘されてしまうことになりかねません。
「合理的な理由で計算」したことを示す
個人事業主の税務調査でよくあるのは、経費を家事按分したという場合です。
事業とプライベート両方で使うもののうち、事業に関係があるものについて事業用とプライベート用の割合を計算して、事業用部分を経費とすることができます。
家事按分と呼ばれ、合理的な理由に基づいて計算した割合であれば認められます。
合理的な理由とは、簡単にいうと他人に説明して納得してもらえるようにすること、ととらえていただければと。
例えば、
- 自宅兼事務所の家賃:床面積、コンセント数、仕事時間など
- 電話代:通話時間など
- ガソリン代:走行距離など
などで根拠を持って計算しておきます。
「6割くらいかな」ではなく、具体的な面積割合や使用割合などルールを決めておくわけです。
客観的に他人が納得でき、自分自身もルールを説明できるようにしておくことが必要になります。
この計算した根拠も、口頭でなく記録を残しておくことをおススメしています。
会計ソフトでは、1年間の経費を後から家事按分できるように登録することができますが、忘れそうなら毎月経費を計上するたびに家事按分してもかまいません。
記録を残しておくことで、どの経費の家事按分は何%かを把握することができます。
領収書や請求書・契約書
収入や経費を計上するときには、請求書や領収書などを見ながら集計をしていくことになります。
領収書や請求書は事業で使ったことがわかる証拠資料となります。
ただ、あくまで事業で使ったことが明らかなものですので、プライべートなものまで経費に入れたいがために証拠資料を残すのはよくありません。
【事務所お知らせ】消費税の計算明細書
消費税については、申告書に青色申告決算書のようなものを添付する必要がありません。
そのため、申告時点では消費税の計算をどのようにしたのかは税務署では把握できないわけです。
税務署から連絡が来た時に、「消費税の計算のもととなった明細書を見せてください」とお願いされることがあります。
通常、消費税を還付申告したときには、還付をいったん保留にして計算明細書を取り寄せて確認することになっています。
消費税が還付になるということは、原則課税を取る場合です。
原則課税とは、消費税について収入と経費をそれぞれ課税・非課税・不課税などとひとつひとつ判定(課否判定と言ったりします)して計算していく方法です。
この時通常は、申告書を作った時の決算書をベースに、課否判定を行って消費税申告用の計算明細を作っていきます。
この計算明細書を見れば、消費税の申告についてチェックをすることができるわけです。
逆に、消費税の申告書を提出しているのに計算明細書がないとなると、本当にきちんとした数字で申告したのかが怪しまれることになります。
それどころか、請求書や領収書を保管していないのではないか=所得税の申告もおかしいかもという疑いをかけられてしまいます。
消費税の申告においては、仕入税額控除ができる要件として帳簿のほか請求書と領収書を保管することになっています。
もし保管されていないとなると、仕入税額控除が認められず、かなりの追徴税額を負担しなければならない場合も出てきます。
まとめ
結局、計算根拠を残すということは、第三者が見て納得できるようにするためです。
上記であげた以外にも、計算した結果をもとに決算書や申告書を作成するかと思います。
その際、税務署に提出するのは決算書や申告書のみで、計算根拠は基本手元に置いておくわけです。
だからといって、その根拠資料を捨ててしまうのはよくありません。
手元に置いておきいつかくる税務調査や税務署からの問い合わせに対して、きちんと主張できるようにするため根拠もきちんと保管しておくようにお伝えしています。
では。