税務署勤務15年間のうち半分は源泉所得税担当をしていました。
毎年この時期になると話題にあがる年末調整では、会社担当者からご相談をお受けすることが多かったです。
そのなかで私が徐々に嫌だなと思うようになってきたのは、扶養控除等申告書などの年末調整関係書類の入力・書き方についてです。
年末調整関係書類の名前が変⁉
ここでいう年末調整関係書類とは、給与を受ける従業員などに書いてもらう以下の書類のことです。
2.給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
3.給与所得者の保険料控除申告書
まあ、1や3はまだ名前はなじみやすいほうかと思いますけど、2の名前たるやなんなんだろうかと。
「兼」って2か所も入れるから余計に分かりにくい…。
用紙の右側には〇で囲まれた文字がありますのでまあみりゃ分かりますけど、それでも2は「基・配・所」が〇で囲まれています。
1や3は「マルフ」や「マルホ」と呼ばれることもあるようですが、私が職員のころは略して呼ぶことはありませんでした。
それにしてもこのネーミングはダサ過ぎると当時職員同士でも評判はよくありませんでした。
【事務所お知らせ】中身が細かすぎる・複雑
例えば、扶養控除等申告書を見てみますと、まあそれぞれ細かい字でいっぱい書いているんですよね。
国税庁ホームページにあるパンフレット「年末調整のしかた」には数年前から記載例が掲載されるようになりましたのでそれを見ていくことで少し楽にはなりました。
しかしもっと書きやすいものにならないんでしょうかね。
特に保険料控除申告書が微妙だと思っていて。
計算式が下に配置されていて間違いを誘発させるといいますか。
そもそも年末調整関係書類を増やさないというのが大前提にあったようですね。
1枚に収めたいわけです。
そのため内容を凝縮して絶対に書いてほしい部分だけを詰め込んだ結果こんな形になってしまったのかもしれません。
クラウドソフトで書類作成の時短短縮を
国税庁から年調ソフトが提供されておりますが使い勝手はよくありません。
従業員が少ないのであれば私はクラウドソフトを使って年末調整書類を作ってしまいます。
家業の年末調整を行うときにはSmartHRを使っています。
昨年入力済みデータを反映させ、異動内容があれば変更をしてチェックをして終了です。
控除額計算は自動でやってくれますし。
ただ扶養控除や配偶者控除の計算は別途給与計算ソフトでやる必要がありますが。
今年から年末調整計算シートが国税庁ホームページにアップされていますので、計算だけならこのシートを使うのもありかもしれません。
年末調整を簡素にするためには
年末調整の手間が年々増えてきています。
会社の経理や人事担当者が一番神経を使う時期かもしれません。
年末調整を廃止して確定申告を義務にしたほうがいいという考えもあります。
私個人的には、マイナンバーが普及し各情報が連携できてきたのであれば別に年末調整は不要なんじゃないかなと考えています。
ただ年末調整という制度自体は、源泉徴収制度を前提になりたっていて、前払いをした所得税と1年間で確定した所得税を調整する機能があります。
源泉徴収制度は所得税を事前に前払いさせることにより国としては税収を確保できる優れた制度なんですよね。
では、その源泉徴収制度を残すとすればやっぱりこの年末調整をもっと分かりやすく使いやすいものにすべきだと思うんですよね。
結局一から書類を作り上げていく・入力していくのが至難の業になってしまったのが問題です。
チェックシートみたく各人でチェックしたら終了っぽくしてもいいんじゃないのかなって。
体裁にこだわりすぎている感じがしてしまいます。
入力をするにしても漏れがあったりするとエラーメッセージが出るとか。
今はペーパーレスの時代ですから、基本的に様式を直接手書きしてもらうことはなくなってきています。
めんどくさいのは従業員とのやり取りですね。
証明書が届かないやら書き方が不明だとか。
結局こっちでやってしまったほうが早いやんってなることも多いですよね。
だったら用紙自体をもっと簡単にしてしまってもいいのかなと思います。
まとめ
今日は年末調整についてわたしの個人的な考えを書いてみました。
私も年末調整書類の作成、めんどくさいと思うひとりです。
元国税職員・元源泉所得税担当がこんなこと言うのはおかしいのかもしれませんけど、現場にいた私でさえ嫌な様式になってしまったなと。
まあ仕方ないことなのかもしれませんけど、個人的にどうやったらこの年末調整をいかに効率よく終わらせられるのかを考えていくようにしています。
なので、あえて国税庁の年調ソフトを使うことはしません。
効率が悪いなと感じているからです。
自分がやりやすい方法で素早く確実にできるように考えています。
では。