再任用調査官が来た時の税務調査

税務署では60歳で定年退職した職員を65歳まで再任用する制度があります。

公的年金の支給が65歳に引き上げられたために退職後5年間無収入になることを防ぐ目的で設けられて、これまでやっていた仕事の経験が豊富な職員の方たちです。

調査官にも再任用職員がいまして、私が退職する年には調査部門に数人いらっしゃいました。

今回は、この再任用調査官について取り上げてみたいと思います。

再任用調査官の位置づけ

先日からこちらの本を読んでいます。

この本には再任用調査官についても取り上げられていますが、ここでは私見も踏まえて書かせていただこうと思っています。
再任用調査官は、退職された経験豊富な職員を各調査部門に配置して、若手職員の指導・育成を担いますので調査に同行します。
もちろんひとりでも調査に行きますが、勤務時間がフルタイム勤務から短時間勤務まで選択することができるので、勤務形態によって調査件数が異なります。
私がいたときの再任用調査官の多くは、週4日勤務で調査件数は若干少なめ(通常の職員の8割程度)でした。
再任用調査官は、職員名簿において各ポストの最上位に記載されています。
調査通知の際には、まず何人で来るのかを確認します。
そのうえで、もし複数人であるなら、同行者の役職や氏名を必ず聴き取ります。
再任用調査官は、例えば週4日など勤務時間が短い方が多いので事前通知の段階で日程を具体的に指定してくる可能性があります。
また自分から「再任用調査官なので」と告げられる職員もいらっしゃいますので、事前通知の段階である程度判断することができます。

再任用調査官の調査を受けるときの準備

再任用調査官は過去の調査経験が豊富な職員ですので、事前にどのような経歴の持ち主かは知っておくことは大切かなと思います。

専門知識が豊富だったり調査困難事案を得意とする職員もいます。

基本的に、再任用調査官が行う調査は効率的に行われます。

若手職員の指導育成目的で調査が来る場合には、時間を取って何が問題なのかを指導する場面も多いかと思います。

何がポイントになっているか明確に判断されていますので下手にもめることは少ないかなと思います。

再任用調査官の調査中

再任用調査官の調査中は、勤務時間の制限もあって協力的な姿勢を示しておくことで早期に調査を終了させることができるかと思います。

実際、週4日のうち法人税調査ですと2日間なのであと2日で書類整理やまとめをしていかないといけないわけですね。

もし非協力的な態度で行くといつまでたっても調査が進んでいきません。

また経験豊富な調査官ですから、さらに突っ込まれて多額の税金を払う羽目になってしまうケースもあります。

初日調査に臨場してからの雑談が非常にうまいです。

展開を先読みしており、雑談から実は帳簿に記載されていない部分をうまく聞き取ろうをしています。

趣味や経歴・交友関係の会話も自然と引き出そうとするので慎重に行う必要があります。

何気ない会話を織り交ぜてくるので返答は慎重にします。

調査時の来客や電話対応にも聞き耳を立てています。

調査官との会話では怪しまれないように目を合わせて話すなど工夫も必要です。

まとめると、再任用調査官の会話は非常にうまいので踊らされないように余計なことをつい喋りすぎないことが大切です。

再任用調査官の調査後

再任用調査官は、調査事績により人事評価に影響は基本的に与えないとされています。

昇給や昇格も基本的にありませんので、自ら進んで調査事案を困難にして長期化したいとは考えていません。

たしかに私の周りにいた再任用調査官も、調査件数を淡々とこなしている方が多かったです。

ほかの職員と同じように調査件数が決められているので早期に調査を終了させて次の事案に着手したいと考えています。

この本では、

指導事項が許容範囲内であれば妥協点を見つけて早期に調査終了を目指すことをおススメする

と書かれてあります。

たしかに、再任用調査官でも細かくチェックされる方はいらっしゃいます。

その逆で不正は徹底的に、でもちょっとした誤りは指導にとどめておく(修正しない)という方もいます。

その調査官によりけりだとは思いますけど、早期の調査終了に協力するという視点は大事かなと思います。

まとめ

今回は、再任用調査官が来た時の税務調査について書いてみました。

再任用調査官の中にはいろいろな方がいて、とても怖い方から指導してほしいなとうらやましくなるような親切だけどアドバイスが的確な方もいます。

一方でやる気のない方もいて、「何しに調査行っているんだろう」という方もいます。

ただ総じて言えることは、経験豊富な調査官であるということ。

若手調査官とは違う視点で効率よく調査される印象があります。

では。

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