猟銃駆除の税金について

先日、このような報道がありました。

Yahoo!ニュース
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農作物を荒らす野生のイノシシや鹿を捕獲する滋賀県内の男性ハンターら32人が大阪国税局の税務調査を受け、2020年12月までの5年間で計約1億7000万円の申告漏れを指摘されたことが関係者への取材で判明した。駆除した動物の種類や頭数に応じて自治体から支給される「捕獲報償金」などについて、所得として申告しない税逃れが頻発していた。

実はこのようなご相談をお客様からお受けしていてまさにリアルタイムのことでしたので、今日はこの猟銃駆除の税金関係について書いてみたいと思います。

猟銃駆除のご相談

先日、お客様から猟銃駆除の報奨金をもらった件でお問い合わせがありました。

個人事業主なのですが、今年になり猟銃会に所属をして定期的に猟銃駆除をやっているとのことでした。

その際、役場から報奨金がもらえるとのこと。

和歌山県は海のイメージがあるかと思いますが、実は少し奥に行けば山間部です。

私が住む地域でも普通にイノシシやシカ・熊などが現れます。

畑や田を荒らしたりするので駆除しないわけにはいきません。

近所にJRの駅もあるくらいのところですが、毎日のように銃声音が鳴り響いています。

【事務所お知らせ】  

猟銃駆除の税金関係とは

先日お問い合わせいただいたときに猟銃駆除のイメージはありました。

しかし、いざ税金関係となったときに、

  • 役場から得た報奨金は何所得になるのか
  • 必要経費として何が考えられるのか

は正直イメージできませんでした。

何かしら情報があるのかなと思ってネット検索してみたところ、滋賀県の長浜市にある「有害鳥獣捕獲等報償金 税申告整理シート」というものを見つけました。

https://www.city.nagahama.lg.jp/cmsfiles/contents/0000003/3814/zeishinkokuseirishi-to.pdf

このシートにそっていくと大体のイメージはできました。

事業所得と雑所得について、このシートでは事業所得は「捕獲した鳥獣を主に販売して生活されている場合など」と想定されています。

ただし、先日所得税法の基本通達の改正により、記帳・帳簿の保存がある場合には収入金額にかかわらずおおむね事業所得になるとのこと。

次に、必要経費に関しては、

  • 修繕費
  • 消耗品費
  • 射撃練習費

などが考えられます。

シートにも具体例が書かれていますが、銃に関しては減価償却資産になることがポイントかなと思いました。

税務相談室に問い合わせたばかりだった

この「有害鳥獣捕獲等報償金 税申告整理シート」を見たうえで、一度近畿税理士会の税務相談室に相談してみることにしました。

そこで教わったのは、まず猟銃駆除は日本産業分類において林業のうち「その他の林業」にあたり、事業所得に該当するということです。

【その他の林 業】
他に分類されない林業,狩猟業を営む事業所をいう。
本分類には毛皮用,食用のための鳥獣の捕獲,害鳥獣の捕獲又は昆虫
類,へびなどの採捕並びに山林用種苗業も含まれる。
○狩猟業;わなかけ業;猟師業;昆虫類採捕業;へび採捕業;山林用種苗業
引用:日本産業分類

また、基本通達の改正により記帳・帳簿の保存がある場合には収入金額にかかわらずおおむね事業所得になり雑所得にする必要はないのではないか。

したがって、

報奨金については事業所得の雑収入に計上しておけばいい

とのことでした。

一方で、必要経費のうち、

射撃練習費については家事関連費となり全額の必要経費は厳しい

かもとのことでした。

球の管理(使用料)や仕事の日数などで家事按分が必要とのことでした。

ただ個人的に、射撃練習費について銃をプライベートで使うことはなく猟銃駆除を行うために必要な練習だという認識です。

税申告シートでは、射撃練習費は全額必要経費として認められるようです。

ですので、税申告シートのほうが現実的なのではないかなと思ったりしています。

本日このブログをご覧いただいている税理士さんから、練習してないと技術的に未熟になりかねず非常に危険で狩猟期間外の技術維持向上のため公安委員会から練習に行ってこいと言われるそうです。趣味でクレー射撃をしているわけじゃないので射撃練習費は経費で問題ないそうです、との情報をいただきました。ありがとうございます。

ちなみに、

銃は、器具備品・耐用年数10年で減価償却します。

銃に関しては値段に差があるようですので、少額減価償却資産になる場合の処理も検討しておく必要がありますね。

まとめ

税務相談室で相談した内容と、税申告整理シートを踏まえて猟銃駆除の税金関係を整理してみました。

今回報道された申告漏れでは、長浜市のハンターもおられたようです。

成果が出たわけですからほかの国税局にも情報が回っているはずで、きっと全国的に波及していくでしょう。

日本は山間の地域が多く、猟銃駆除は切っても切れないものかと思います。

今後のためにも一度猟銃駆除の税金について申告の有無を検討していただく必要があるのかなと思っています。

では。

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