先日、宮城県仙台市で起きた職員のボーナスにかかる源泉所得税の納付もれにより不納付加算税が課された問題。
報道を見ていると、免除があるはずなのにな…と思わせてしまうような内容の記事ばかりでした。
源泉所得税の不納付加算税がかかる場合と、一定の場合は免除されることがありますので今回はその内容を取り上げてみたいと思います。
不納付加算税がかかる場合
源泉所得税を期限内に納付しなかった場合には、不納付加算税として本税額に対して5%かかります。
税務調査で指摘されたのちに納付する場合は、本税額に対して10%。
事実の隠ぺいや仮装に基づき納付しなかったときは、不納付加算税に代えて重加算税が本税に対して35%かかります。
これとは別に、納付期限の翌日から納めた日までの日数に応じて延滞税がかかります。
源泉所得税の場合、基本的には支払った日の翌月10日までに源泉所得税を納付する必要があります。
納付期限より1日でも遅れて納付してしまいますと、基本的には不納付加算税がかかってきてしまうことになります。
しかしそれではかわいそうだということで、納付意思があったと認められる場合には不能加算税を課さない(免除する)場合があります。
不納付加算税が免除される場合
納付期限の属する月の前月の末日から起算して1年以内に以下の2つの要件をすべて満たす場合には、納付する意思があったと認められます。
- 納税の告知を受けたことがない
- 納税の告知を受けることなく納付期限後に納付した事実がない
そのうえで、納付期限から1か月を経過する日までに納付された場合には不納付加算税を免除する、ということになっています。
ここで納税の告知とは、簡単にいいますと税務署から「納めなさいと連絡や通知が来たことがない」という意味です。
つまり、こういうことです。
ちなみに、
今回の報道について
今回の仙台市における源泉所得税の不納付加算税について。
報道によると、
市職員らに6/30付で支給されたボーナスの源泉所得税を7/10までに納めていなかった。労務課の担当職員が8/2になって、7月分給与の源泉所得税の納付手続きを進める過程で誤認に気付き8/3に全額を納付したが、約3週間分の延滞税と不納付加算税が課された。
ここまでの報道で終わっているのが多いのですが、正直この記事のままですと納付意思がある場合も考えられ不納付加算税が免除されるケースもあります。
なぜなら、7/10の納付期限から1か月を経過する日である8/10より前(8/3)に全額納付されていますからね。
しかし、
市によると、過去1年以内に下水道事業で源泉所得税の納付遅れがあったため、不納付加算税の納付が免除される規定が適用されなかった。原因は、市建設局が法律相談契約を結んだ市内の弁護士の業務委託料にかかる源泉所得税の納付がもれていたため。
と記事に書かれてありました。
これまでの経緯を図解してみます。
結局、納付期限から1月以内に納めたわけですが、過去1年以内に期限後納付があったため不納付加算税の免除は適用されなかったというわけです。
このようなミスを防ぐには
このようなミスはたびたび目にしてきています。
うっかりの場合が多いかなと思いますが、チェック機能は大切かなと思います。
大事なのは
だと思います。
事前に納付できるのなら先に納付しておきます。
もし納付もれに気づいた場合でも期限内ならまったく問題ありません。
納付書を再度作成して納付すればいいのです。
1枚の納付書で給与や士業報酬などすべてを記入しないといけないと思われている方もおられますが、別に分けても問題ありません。
給与は給与で1枚・士業報酬で1枚でも別に大丈夫です。
「支払った月の翌月10日までに納付」なのです。
「10日に納付」ではないので、早ければ早いに越したことはありません。
まとめ
今回の仙台市の件では、不納付加算税と延滞税合わせて4,948万4,200円を追加で納めることになりました。
市では全額税金で賄うとのことですが、住民からしたら納得できないでしょうね。
自分たち職員のミスを住民から集めたお金で支払うわけですからね。
市長や幹部職員などを含め懲戒処分を受けており、再発防止策などが市のホームページに掲載されています。
法人や個人だけでなく、国や地方公共団体も源泉所得税を納める義務があります。
このようなミスを地方自治体もやるんだというのを感じていただける記事なんじゃないかなと思って取り上げてみました。
では。