税務調査対策・「知っていて当たり前」が逆に怖いと思うこと

先日、Yahoo!ニュースを見ていたら税務調査対策の記事が書いてありました。

その記事に対して批判的な意見がちらほらと。

もちろんご存知なのは分かりますけどそれを果たしてどれだけの経営者・個人事業主が実践できているのでしょうか。

正直私はこのような考え方の人がいると思うととても怖いなと感じます。

「税務調査対策」の記事の中身

まずこの記事の中身ですが、税務調査で指摘されない法人の節税対策ということで書かれてありました。

個人的に節税対策と書かれていた時点で違和感はあるのですが、

  • 役員報酬を最適な額に設定する
  • 未払金、未払費用を漏れなく計上する
  • 法人契約を結び、役員や従業員の家を社宅とする
  • 旅費日当を支給する
  • 取引先の接待にかかった費用を交際費とする
  • 中小機構の経営セーフティ共済に加入する
  • 在庫を整理し、不要な在庫は処分する

と書かれてありました。

これに対してコメントを見てみると、まあ批判をしている方が多いんですよね。

  • 調べればすぐ出てくる内容でビックリした
  • こんなの経営者なら誰でも知っているレベル
  • くだらない記事を読んで時間の無駄だった
  • こんな当たり前すぎる方法を対策と言われましても…
  • 読んで損した
  • どんだけレベルの低い経営者を相手にしているんですか
  • 馬鹿にしずぎ

本人からしたら大した記事ではないのでしょう。

見出しを見て興味がそそったから飛びついてみたけど知っていることばかりだったからコメントを残したんでしょうね。

しかし、私個人的には果たして知っていてもそれを実践できている人がどれだけいるのかなと思うんですよね。

【事務所お知らせ】  

知っていても取り組めていますか?

内容は知っている方が多いのかもしれませんが、では実践できているのでしょうか。

例えば、役員報酬を最適な額に設定する。

役員報酬は従業員の給与とは異なり損金算入できませんが、定期同額給与など一定の方法で支払われていれば損金算入できるため法人税を節税できるとされています。

しかし、役員報酬が増えたら役員個人の所得税や住民税が増えますので、最適な額に設定するというのはそんな簡単なものではありません。

法人税と所得税・住民税のバランスを考えると即決は厳しいと思います。

あと、役員や従業員の家を社宅とする場合、社宅の家賃を会社の経費にすることができますが、全額を会社負担にしてしまうと役員や従業員の給与と認定されてしまいます。

給与と認定されたら所得税の負担が出てきてしまいます。

正直、こういう節税方法のひとつひとつは実践しようとするとハードルは高めです。

規程や契約書などを作っていくことも大事になりますし、社宅の場合は特に役員や従業員に負担してもらう家賃相当額の計算が非常に複雑です。

もちろん経営者の方も勉強をされていてそれなりの対策はされているからこそこのような批判的な意見になるんだとは思います。

しかし、私はこの記事を見て「本当に自分の会社で実践できているのか素直に再確認してもらえたら」と思ったんですね。

このブログで何度も言っていますけど、私は節税という言葉が苦手です。

納めるべきものは納めて本業で稼げるようになるのが本当に仕事ができる事業者だと思うんですね。

節税が一歩間違えたら脱税につながるのを身をもって感じていますので。

従業員や家族に周知できているか

経営者本人がいくら知っていても、従業員や家族にその認識があるかどうか分かりませんよね。

例えば、経理担当者である従業員に判断を一任している場合などは要注意です。

従業員も税務調査では質問対象者になることもあります。

経営者の意図しない回答をされてしまうとたちまちこれまでの税務調査対策の意味が変わってきてしまいます。

また、個人事業主やフリーランスの場合、家族を専従者としている場合もあります。

家族も事業に参加しているので質問対象者になることもありえます。

事業に関係する従業員や家族が理解できているのかどうかも大事じゃないかなと。

意外と「身内に敵がいる」というケースは多くて、経営者の知らないところで経理担当者が不正をしていたということもあり得ます。

経営者本人だけの問題ではないという認識は持っておくべきなのかなと。

まとめ

今回は、Yahoo!ニュースで見た記事に対して批判的な意見が多かったので記事にしてみました。

「当然知っているから意味がない」で済ませられる内容ではないと思っているんですね。

ひとつひとつの内容は実践するとなると準備と時間が必要なものだと思うので。

なので、このような記事が出るたびに再度自分の会社・事業ではどうなのか、実践できているのかを確認していただくきっかけになればいいなと思っています。

では。

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